突然、相沢祐一は悪寒に襲われた。
水瀬家に帰宅して数日、休暇も終わりに近づいた頃。
祐一は残り少ない時間を真琴と共に楽しんでいた。
特に問題も無く事件も無く、心休まる日々を過ごす。
だが……残り滞在期間が三日をきった時、それは起こった。

「魔力反応……こんな場所に?」

巨大な魔力が、いきなり出現した。
場所は水瀬家よりかなり離れている。
だが離れているからこそ、ここまで魔力反応が届く事に驚愕を覚える。
しかも薄い魔力反応ではない、祐一が飛び起きるほど強力なものだ。
待機モードのデバイスを手に取る。
無関係にやり過ごすにしては魔力が大きすぎた。
これほどの反応ならば、この距離でも危険だ。
恐らくは月宮あゆクラス……いやそれ以上の魔力の持ち主。
更にその反応が二つという事ならば致命的だ。

「休暇ぐらいゆっくり過ごさせろっての!」

部屋の扉を開け廊下に飛び出す。
すると同時に廊下の突き当りの部屋の扉も開いた。
真琴だ、焦った表情で祐一を見てくる。
どうやら真琴も魔力反応を感じ取り同じ結論に至ったようだ。
この魔力反応は……明らかに誰かが何かをやらかそうとしているように大きい。

「祐一、これって!?」
「出るぞ真琴、管理局には俺が伝える……お前は先行しろ」

多くは告げず祐一は真琴に出撃命令を出す。
真琴の顔が驚愕から疑問に変わる。
だが、それでも祐一の"命令"は絶対だ。
それは使い魔として服従の証、幾ら真琴が自由を手にする者だとしてもそれは変わらない。
何せこれは使い魔からも望んだ結果だ。
真琴は疑問を浮かべつつも頷く、そして窓から出ようと背中を向けた。
……しかし、そのまま動かない。
祐一に背を向けたまま止まった。

「―――祐一」

真琴の声がする、祐一からは真琴の背中しか見えない。
だから真琴がどんな表情を浮かべているのかはわからなかった。

「もし相手が敵だったら、倒しちゃってもいいよね?」

だけれども、祐一には何故かその背中が悪戯っぽい笑みを浮かべているような気がした。
祐一は……苦笑してわざとらしく溜息をつく。
答えは決まっていし真琴も分かっている。
しかし祐一は真琴の背中に力強い言葉を投げかけた。

「敵だって判断したら好きにしろ、逮捕はついでだ」

休暇中だしな、そう言って祐一は手を軽く振った。
―――デバイスがそんな二人を見て微笑んだ気がした。

 

魔法少女リリカノンなのは
第十二話
「早過ぎた血戦」

 

白いバリアジャケットが舞う。
赤いバリアジャケットが飛ぶ。
二つの軌跡は魔力光を伴って空中を照らし輝かした。
市街地での魔法戦は、始まったばかりだ。

「―――いきなり襲いかかられる覚えはないんだけど!」

桜色の魔力光を撒き散らしながら、高町なのはは叫んだ。
深夜に現れた突然の襲撃者、正体不明の相手。
何が目的かは知らないがいきなり襲われた。
仕方なくデバイス、レイジングハートと共に迎撃へと転じる。

「何処の子? いったい何でこんな事するの!?」

管理局……では無いと思う。
なのはが知っている管理局員はこのような襲撃を仕掛けてくる理由はない筈だ。
赤色の魔導師、背格好はなのはと同じぐらい。
だけど初撃、更にクロスレンジでは圧倒的な力を見せてきた。
恐らくなのはが見た中でも上位に位置する魔導師だろう。
見かけで判断してはいけない、なのはの本能がそう叫んでいた。

「………」

赤色の少女は無言で攻撃態勢に入る。
どうやら問答する気は無いらしい。
なのははそんな相手を見て、しかしまだ諦めない表情を固める。

「教えてくれなきゃ……わからないってばぁ!!」

その言葉と同時に、赤い少女の背からなのはが予め放っていた魔力弾が迫る。
……流石に虚を突かれたのか赤い少女は目を見開く。
回避行動に移ろうとするが、間に合わない。
目視確認だけで二つ、予想以上に速い魔力弾が迫った。
一発目は赤い少女のバリアジャケットを掠めただけで直撃はしない。
だが二発目は正面、避ける事は不可能だ。
赤い少女は魔法障壁を張り魔力弾を弾く。
しかし衝撃だけは殺せず若干体が後ろに流れた。

「……こっ、この野郎ぉ!」

赤い少女の口から遂になのはに向けて言葉が発せられる。
どうやら堪え性が無い相手のようだが、その眼光は鋭くなのはを射抜いていた。
焦って戦況を悪くせるような事はしない。
それは相手がこういう戦闘に慣れているという事を物語らせていた。
赤い少女が速度を上げハンマー形のデバイスを振りかぶって接近してくる。
どうやら相手はやはり接近戦に持ち込みたいらしい。
だがそれを確認しても、あの速度から簡単には逃げ出せそうにない。
赤い少女が迫る、なのははデバイスが振り下ろさせる一瞬に賭けた。

『"Flash move"(フラッシュムーブ)』

レイジングハートがなのはの回避行動と同調して飛行魔法に高速化をかける。
赤い少女のデバイスによる打撃を紙一重で回避した。
……バリアジャケットのリボンが軽く切り裂かれるが損傷は無い。
避けた速度を維持して一定の距離を離すと、なのははそのまま反撃に出る。
相手はまだ、一撃の後の硬直から持ち直せてはいない。

『"Shooting mode"(シューティングモード)』
「―――話してくれないと……分からないってばぁ!!」
『"Divine buster"(ディバインバスター)』

非殺傷設定の魔力砲をほぼノータイムで放つ。
なのはとしては牽制用に直撃位置を変更した直射型砲撃だ。
だが……それを相手にする者にとっては十分威力のある攻撃用の魔法だ。
これを相手が牽制用と取らず、単に殲滅用と取られても仕方ないほどの一撃だった。
その魔力任せの一撃は狙い通り少女の真横を通り過ぎる。
赤い少女は予想外の威力に驚きながらも、弾き飛ばされるように回避した。
しかし―――その回避も完全には間に合わず、少女が被っていた帽子を吹き飛ばす。

「…………あっ」

直後、赤い少女の目の色が変わった。
その視線は戦闘中だというのに弾き飛ばされて地面へと落下していく帽子に向けられていた。
帽子の両側についたうさぎ型のアクセサリーが散るように落ちた。

「……くっ!!」

少女はなのはの方へと振り返ると墳怒の表情を浮かべた。
まるで大切な何かを穢されたかのように、先ほどとは違う本物の怒りを感じる。
なのははそれを見て少し怯えた様に若干後ろに下がった。
何があそこまで少女を怒らせたのかはわからない。
だけど少女は、明らかにこちらに対し憎悪している。

「グラーフアイゼン、カートリッジロード!!!」

少女が叫ぶようにデバイスに命令した。
すると少女のデバイスはまるで弾丸を装填するように内部機関を大きく稼働させた。

『"Explosion, Raketenform"(爆発、ラケーテンフォルム)』

瞬間、少女のデバイスが大きな変化を見せた。
ハンマーの片方はドリル状に、もう片方はまるでジェット機のエンジン如く変形。
まるで見た事のない変化になのはは驚愕の声をあげる。
ミッド式の魔法を学んで来たが、あのような変形をするデバイスをなのはは知らない。
クロノから貰った資料や教導メニューにも無い……正体不明のデバイス。
しかしそんななのはを嘲笑うかのように、少女は容赦なく攻撃姿勢に移った。

「ラケーテン―――ッ!」

デバイスのジェット部分から炎が飛び出しヴィータを中心にして回転。
何をするつもりなのか、なのはにはわからない。
だが全身を鳥肌が包む……それは目の前の少女の魔力量にあった。
カートリッジロードと叫んだ後、少女の魔力量が格段に跳ね上がっている。
少女は何回転かすると、なのはに向かって突撃しだした。
ジェットの加速に乗り少女は高速でなのはへと迫る。
あまりの突然さに呆気にとられるが、なのはは呆然としながらもその少女の一撃を何とか避ける。
だが、避けられた後……少女の一撃は、ジェット噴射による回転によってもう一度なのはへと迫った。
予想もしていなかった追撃で回避が遅れる、なのはは魔法障壁を張ってその一撃を受けた。
しかし―――魔力量が跳ね上がった少女の一撃はなのはの障壁すらも簡単に突破してしまう。
仕方なしになのははレイジングハート本体で少女のドリル状になったデバイスを受ける。
……だが、それも長くは続かなかった。
少女の一撃はレイジングハートの本体をも侵略して、その部分を貫こうと迫る。
デバイスに罅が入り、なのはは驚愕の声が漏れる。
ここを抜かれたら、最早遮る盾は何もない。

「―――ハンマァァァァァァ!!!」
「きゃああぁぁぁぁぁ!?」

少女の一撃は容赦なくレイジングハートの本体を削った。
そして遂にその衝撃に耐えきれなくなったなのはは弾き飛ばされる。
凄まじい速度で吹き飛ばされたなのはは背後にあったビルの一室へと吸い込まれるように衝突した。
轟音と共にガラスの割れる音が響く、なのはの体はまるでボールのように転がりビル内部を障害物を巻きこみながら突き進む。
幾ら防護服であるバリアジャケットと言えども全ての衝撃を殺せるはずもなく、まだ幼い体には大きすぎる負担がかかった。
なのはは何とか体制を整えると、煙る室内で膝をつく。
衝撃のせいで咳き込むが、それを待っていてくれるほど相手は甘くなかった。

「でええぇぇぇぇぇぇぇい!」
「―――っ!?」

少女はドリル型に形を変えたデバイスを構えてビルの中まで迫ってきた。
激痛奔る体を起こしなのはは中破したレイジングハートを構える。
しかし……先ほどの一撃でわかった通り、なのはの防御力ではあの一撃を防ぎきる事は恐らく不可能だ。
それを理解した上で、だがこれ以外の方法がとれない。

『"Protection"(プロテクション)』

レイジングハートの声が室内に響く。
自動発動でなのはの前面にバリアを展開させた。
その判断速度を考えるに、レイジングハートの高性能さを感じさせる。
だが、それでも相手の少女の一撃は強烈だった。

「ぶっつぶせえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
『Jawohl!(了解!)』

渾身の力で少女の一撃はレイジングハートが張った防御を貫いた。
ドリル型のデバイスが迫る、しかしもう回避できる状態では無かった。
遂になのはの体にその刃が到達する。
……刹那、少女のデバイスがなのはのバリアジャケットに触れた瞬間、不思議な事が起こった。
まるでその一撃を緩和するかのようになのはの着用していた防護服が弾け飛んだのだ。
衝撃でなのはは吹き飛ばされて背後の壁にぶつかる。
だがそれは少女のデバイスの一撃ではなく、バリアジャケットが弾け飛んだ事による反動だ。
リアクターパージ、バリアジャケットの最終防衛機能。
過剰な衝撃を受けた場合にバリアジャケット自らが爆発することで受けたダメージを相殺する。
最早最終手段とも言える回避方法であり、その後の戦闘は想定していない。
……しかし、まだ目の前にはデバイスを構えた少女が居た。
なのはは受けたダメージが大きく、動けない。
だがそれでも尚、半壊したレイジングハートを赤い少女に向けた。
それを見た少女は、慌てるわけでもなく……多少乱れた呼吸を整えてゆっくりと歩み寄る。

「……はぁ…はぁ…はぁ」

なのはの口から呼吸が漏れ出す、激痛が奔る体に鞭打ち少女を力無く睨みつける。
赤い少女がデバイスを掲げる……後はそれを振り下ろすだけで勝負はつくだろう。
抵抗する手段を無くしたなのはは、次に来る衝撃に対し目を瞑った。
こんな事で終わる、それはとても嫌だった。
まだ何も出来ていないのに、約束すら果たせていないのに。

「…………やだ」

声にならない言葉が、なのはの口から微かに漏れる。
だがそれは少女には届かない。
なのはの頭に走馬灯のようなものがよぎる。

「…………ユーノ君、クロノ君」

それは友達の名前、魔法を教えてくれた友達が居た、助けてくれた友達が居た。
……そして、本気で喧嘩して仲直りした大切な友達も居る。

「―――フェイト…ちゃん!」

だが無情にも、少女の一撃は振り下ろされた。
暗闇に空気を切る音が……なのはの耳に残った。

 

 

 


真琴はバリアジャケットに換装して魔力の発信源へと急いだ。
状況はわからないが、魔力の反応だけは今でも続いている。
恐らくは結界魔法の一種……その中で何が行われているかは知らないが、ロクな事では無い。
管理局員として、それを見過ごすわけにもいかない。
だから速度を上げて真琴は急ぐ。
後ろからは力強い援軍が追ってきている、それは確かだ。
ならば……その援軍が到着する前に自分が事態を収拾してしまう事は、面白そうだ。

「それにしても、どうやって侵入しようかな」

結界はバリアブレイクで抜けるほど簡単ではない。
突破はそれ相応の威力と技術を要する作業だ。
真琴一人で突破できるような結界なら問題はないのだが、それは実際に見てみないと確認できない。
目指す方向は……来る時に寄った海鳴市方面。
恐らく―――結界はそこにある。

「あぅ〜、あんな美味しいケーキ屋さんの近くで暴れようなんて……許さないんだから!」

真琴が拳に力を込める。
すると橙色の魔力光が燃え盛るように舞い散った。
魔力は十分、教わった技術は武装隊仕込み。
負ける気はしなかった、どんな相手でも。
更に加速して……真琴は一直線に元凶へと向かう。
……その先にあるものを知らずに。

 

 

 


真琴を送り出した後、祐一はすぐに管理局と連絡を取った。
直接現場に向かいたいのは山々だがする事がある。
ここから一番近く、話がわかりやすいという理由で連絡先にアースラに繋ぐ。
するとすぐにアースラの通信係であるエイミィ・リミエッタからの返事があった。
祐一の通信機にエイミィの顔が映る。
……大分焦ったような表情をしていた、どうやら事態に気づいているらしい。
予想以上に早くアースラでは異常を感知したようだ。
それほどまでに、魔力で張られた結界が強力なものであった。

「こちら武装隊所属、相沢祐一準空尉だ」
『アースラ所属エイミィ・リミエッタ、相沢準空尉……今すぐ動けますか!?』
「真琴は先に行かせた、出来れば詳細をくれると嬉しいんだが」

相手の焦り様に祐一は落ち着いた口調で問う。
相沢祐一は武装隊の部隊長だ、幾ら休暇中とはいえすぐに魔法行使が出来る訳じゃない。
真琴の出撃は固有戦力であるが故に一応名分が立つが祐一は違う。
異常を感知してもそれが管理局の命令がなければ飛行すら出来ない。
管理外世界はそれほどまでに規制が厳しい。
本来ならば真琴の行動さえも違反だが、異常魔法感知の為の偵察目的としてなら言い訳は出来るのだ。
真琴の出撃はサーチャーを飛ばしたようなものだ。
管理局員として登録されている魔導師でありながら祐一の固有戦力である真琴だからこそ可能な裏ワザだった。

『現在海鳴市近くに魔力結界を察知、そしてその中には恐らく民間協力者の少女も居ます!』
「高町……なのはか」

成程、祐一は納得した。
結界が張り終わる直前確認した一つ目の反応は高町なのはのもので間違いないだろう。
直接会った事はないがフェイト・テスタロッサほどの魔力量があった。
しかし……それならば高町なのはと同等程度の魔力反応は誰のものだというのか。
一瞬―――金髪の少女の笑顔が頭によぎったが即座に振り払う。
それは有り得ない、状況から考えてその可能性は少なすぎる。

『こちらで正式にお願いします、民間人の少女の身柄を保護してください!』
「……了解、市街地での飛行魔法使用の許可を求める」
『了解です、飛行魔法の行使を認めます』
「わかった……すぐ向かう」

祐一は真琴に遅れる事数分、ようやく水瀬家から飛び出した。
目指す先は海鳴市……そして目的は高町なのは。
待機モードだったリューナを起動させて、一瞬でバリアジャケットに換装する。
祐一は暗闇が支配する夜空へと舞い上がった。

『Good evening, My master(今晩は、我が主)』
「良い夜だな、不良デバイス」
『Go into prepare for action(戦闘準備を開始します)』
「……馬鹿だな、お前は」
『Why?(何故です?)』

祐一の言葉にリューナは少し不満そうに返した。
リューナとしては戦闘は絶対、不可避だと信じて疑わない。
だが祐一としてもそれを否定する気はなかった。
祐一は笑う、だが何時ものような笑い方ではなかった。
ミッドチルダから地球に来るまで祐一は、一度だけ戦った事がある。
模擬戦程度のお遊びみたいなものだ。
だけど、今回は違う。
管理局から正式に要請があった任務なのだ。
リューナが間違っているのは思考じゃない、姿勢だ。

「行くぞ不良デバイス、これは"戦争"だ」
『……You are perfect, My master(完璧です、我が主)』

 

 

 


―――なのはは、何かがぶつかり合うような衝撃音を聞いて薄く眼を開けた。
少女の一撃はまだ来ない。
それが不思議で、ぼんやりとした景色を見つめる。
そしてそこには……黒いマントが舞っていた。
赤い少女は見えない、見えるのはなのはの前に立つ小さくとも大きな背中。
視界一杯に広がったそれは、漆黒のバリアジャケット。
更に……その背中に流れるような美しい金髪がまるで川の如く揺れる。
知っている、なのははその背中を知っている。
だけど声が出なかった、あまりに突然だった為に……そしてあまりに想像外だった為に。
漆黒のバリアジャケットを身にまとったそれは、同じように漆黒のデバイスで―――赤い少女が振り下ろしたデバイスを防いでいた。

「ごめんなのは……遅くなった」

困惑しているなのはの肩に暖かい手が置かれた。
それはよく知っている声、こんな状況でも安心してしまう声。
なのはは振り返る、するとそこには見慣れた姿があった。

「ユーノ……君?」

茶色いマントと、白と緑が入り交ざったバリアジャケット。
それは……なのはが最初に出会った、魔法という世界に関わる切っ掛けになった少年だ。
いきなり現れた二人を見て、なのはを守る様にデバイスの一撃を受けたそれを睨むと赤い少女は後ろに跳躍した。
そして軽く舌打ちをすると苦々しく呟くように確認する。

「……仲間か!」

当然そうだろう、赤い少女は確信しながらも漆黒のマントに身を包んだ者に問う。
だが……それに対してすぐには答えずに漆黒のデバイスを構える。
デバイスが輝く、まるでその存在を誇示するかのように。

『"Scythe form"(サイズフォルム)』

漆黒のデバイスの宣言後、杖先が本体と直角に展開する。
そして直後先端に金色の魔力光が収束した。
魔力の刃が飛び出す、その有様はまさに鎌。
金色の刃を持つ漆黒のデバイスを構えて、その―――少女は迷いなく答えた。
否定はしない、だが肯定もしない。
だけど間違えるな、そんな意思を込めているかのように。

「―――友達だ」

呟くように、しかし何よりもはっきりと、なのはの友人であるフェイト・テスタロッサは目の前の相手を睨みつけた。

 

 

 


あとがき
本編に同調するって楽だなぁとか思ってませんよ?(コラ
フェイトに惚れた一幕、この頃からなのはは神だと悟りました。
初見でガチに鳥肌が立った場面です、見てない人は見るべきだと思います。
くそぅ、BGMと文才が無いのがイタイぜ(ノДT)
真琴、祐一出撃。
なのは接敵、フェイト到着、ユーノオマケ(ぇ
簡単に纏めるとこんな感じですかね、いやぁ簡単な構図だ。
この後本編が壊れます、ガラガラと。
そういうのがあまり好きではない人は今回が最終回です(=Д=;)えぇ!?
ちなみに戦闘ではなく戦争という言葉を使ったのは、多分この任務を祐一君が"1011部隊隊長"として受けたから。
それ以外に深い理由は無いと思うのですよ、というかリューナは少し落ち着け。
次回もリリカルマジカル頑張ります!

 

■SS辞書■

―高町なのは(たかまちなのは)―
出身:第97管理外世界「地球」極東地区日本・海鳴市
所属:なし(管理局民間協力者)
階級:なし
役職:なし
魔法術式:ミッドチルダ式・AAAランク相当
所持資格:なし
魔力光:桜色
デバイス:インテリジェントデバイス
コールサイン:なし

―フェイト・テスタロッサ(ふぇいと・てすたろっさ)―
出身:ミッドチルダ南部アルトセイム
所属:時空管理局本局嘱託魔導師
階級:嘱託
役職:嘱託魔導師
魔法術式:ミッドチルダ式・空戦AAAランク
所持資格:嘱託魔導師
魔力光:金色
デバイス:インテリジェントデバイス
コールサイン:なし