それはある一言から始まった。
ただの日常会話、何の変哲もない世間話。
だがそれだけで終わらなかったから、今の状況があるのだろう。
祐一は深くため息をついて心底反省した。
成長していない自分と、そして成長しない相棒に嫌気がさす。

「ほら、祐一!! かかってこいー!!!」

叫ぶ真琴、しかしいつもと違ってその姿は戦闘態勢に移行している。
軽い装甲がついた白い小袖に緋袴を履いた姿で両手を振り上げながら幼い挑発をしてくる。
その格好は正しく巫女装束、一見動きにくそうな服装だがその実機能的なバリアジャケットだ。
何となく久し振りに見る真琴のその姿は、主人として微笑ましくもある。
だがそれが普段の状態ならばの話だ。
今の真琴は頭から狐の耳を出してお尻からは陽炎のように実体があやふやな尻尾を突き出している。
そして体からは橙色の炎のような魔力光が溢れ出していた。
まさに今すぐにでも襲いかかってきそうな使い魔に、呆れて声もでない。

(そりゃ自由にしたのは確かに俺だが、こんな事をするために命令しなかったわけじゃないぞ)

使い魔の反乱、題名をつけるとしたらそんなものだろう。
仕方なしに祐一は待機モードにあったリューナを軽く叩く。
するとリューナは一度光ると、無口のまま形状を杖へと変化させた。
真琴は魔導師ランクA+、それに対して祐一はB+。
ランクはそのまま戦力差となるわけではないが、一つの基準としては正しい。
リューナもそれを言われずとも察しており、いつもの悪ふざけはないようだ。

「……なぁ、勝てると思うか?」
『No problem(大丈夫です)』

祐一の呟きに沈黙していたリューナが答える。
何時になく強気のリューナに、しかし祐一は苦笑する。
相手は真琴だ、主人の面子を守る筋合も無いし別に敗北しても構わない。
だけどリューナはそういう訳にはいかないようだ。
このデバイスは本当に負けず嫌いだ。
兎に角相沢祐一という人物が負ける事を極端に嫌がる。
寧ろ認めない、自らが認めた者には敗北は許されない。
それがこのデバイスの中で譲れない思考のようだ。
―――昔、武装隊の公開演習であゆと戦った時もそうだった。
それほどまでに好かれた理由は分からないが、祐一はこの真っ直ぐなデバイスは嫌いではない。

『Please believe me(私を信じてください)』
「何時だって信じてるさ、不良デバイス」
『I also believe you(また、私はあなたを信じています)』
「……あぁ、任せろ」

祐一に戦う理由は無い。
だけど戦わない理由も、また無い。
ならば……戦う意思を示しているデバイスに理由を託すのも、たまには悪くないだろう。

 

魔法少女リリカノンなのは
第五話
「主従喧嘩」

 

「真琴の方が祐一さんより強いんですか?」

フェイトは不思議そうに祐一に訪ねた。
アースラ艦内、話す事も段々と無くなり話題が尽きかけた頃…少女はそう言った。
恐らく真琴と祐一の魔導師ランクを聞いて率直に思っただけだろう。
この時不幸だったのは、美汐はもう既にアースラから降り本局に行ってしまった事だろか。
そして更に、出会ってすぐの頃より真琴が緊張をとき祐一の背中から横に座るようになっていた事も含まれるかもしれない。
……それは何気ない一言から始まった。

「主人が使い魔に負ける訳が無いだろ」

苦笑交じりに祐一はフェイトに答える。
使い魔とは魔導師によって造られる生命体だ。
召喚術士とは違い自分の能力を超えたものは作れないが優秀な手駒を自由に操れる。
その代償として、魔導師は使い魔が存在する為の魔力供給を半永久的に行わなくてはいけない。
そういう魔導師として基礎的な知識で祐一は答えた。
別におかしい事はない、至極当然の事だ。
普通の使い魔はそれを自覚しているだろうし、事実そうなのだ。
しかし、祐一の言葉が通じるのはあくまで普通の使い魔にだけだ。
そう……この時一番不幸だったのは、祐一がその事を忘れていた事かも知れない。

「祐一に真琴が負けるわけないじゃないの!!」

祐一の隣で黙って座っていた真琴が一気に爆発する。
……真琴にとって魔導師ランクは唯一知る強さの基準だ。
祐一がB+、真琴がA+……どちらが上かなんて狐でも分かる計算だった。
それを聞いて祐一は呆れたように溜息をついた。

「何いってんだ真琴、仮にお前が全力を出したって俺には勝てないだろうが」

使い魔として……という意味を込めたつもりだった。
だが、真琴はその言葉を表面だけ読み取ると顔を真っ赤にさせる。
真琴の中では祐一が馬鹿にしているようにしか取れなかったらしい。

「B+の祐一なんかに真琴は負けないわよ!」
「えっと……あの?」
「ほー、よく言ったこの狐が……何なら勝負でもするか?」
「面白いじゃないの、祐一なんて泣かせてやるんだから!!」
「け、喧嘩は駄目です」
「確かアースラって訓練室あったよな、何ならそこで勝負でもするか?」
「や、やってやろうじゃない!」

フェイトの制止も聞かず真琴がヒートアップしていく。
対して祐一はそれを面白そうに眺めていた。
……祐一としては冗談のつもりだった。
アースラの訓練室などそう頑丈に出来ていない。
訓練室の中に何重も結界を張り巡らさないと航行中のアースラでは戦えはしないだろう。
だから祐一は面白半分に挑発してみたのだが……。
そして、言ってはならない一言まで追加していた。

「何ならフェイトもそっちにつけてやろうか? 真琴一人じゃ絶対勝てないだろうしな」

……繰り返すが、祐一は本気で冗談のつもりだったのだ。

 

 

 


「さてっと、どうするか」
『I can be shot(いつでも撃てます)』
「もうちょい待て、不良デバイス」

祐一はリューナを叩き諌める。
流石に敵でもない相手に奇襲はしたくない。

「しかしアースラまで止めて、ハラオウン提督って結構無茶するよな」

実際に衆目に晒されているわけではないが、視線を感じる。
恐らく他のクルーはモニタールームで見てるのだろう。
お祭り好きなのか、それとも他の理由か。
まあ、多分目の前の状況が答えなのだろうと思わなくもない。

「えっと、真琴……本当に私もやるの?」
「あったりまえでしょ、祐一何かコテンパなんだから!」

先ほどの殊勝な態度はどうしたのか真琴はフェイトに偉そうに胸を張った。
フェイトはどうやら事態の展開のおかしさに気づいているようだが止め方も控えめだ。
どうやら少し流されやすい性格のようだった。
それか、もしかしたら模擬戦などが好きなのかもしれない。
祐一は事態の停止を諦めて相手の戦力を分析する。
沢渡真琴、魔導師ランクA+のクロスレンジ魔導師。
祐一がオールレンジアタッカーならば真琴は近接戦闘に優れたタイプだ。
フェイト・テスタロッサは魔導師ランクAAA。
明らかに真琴より強く、ポジション的には祐一と同じタイプのようだ。
という事は、何時も祐一との戦闘に慣れている真琴は展開しやすい。
更にフェイトは自分の使い魔も持っていて、チーム戦にも対応できるだろう。
流石に三体一で勝負するほど祐一も勝敗を諦めてないので使い魔の投入は今回遠慮してもらったが。
祐一は軽くため息をつくと、リューナを構える。

「しょうがない、何時でもいいぞ」
『Go to war(出陣です)』

やる気が無さそうに、そう真琴達に告げる。
瞬間……まるでその合図を待っていたかのように真琴は駆けだした。
フェイトはそんな真琴のいきなりの行動に慌てることなく詠唱を始める。
どうやらオーソドックスに前衛と後衛に別れて戦うらしい。
正攻法で来られると祐一の力負けと悟っているのだろう。
勝負を一気に決める気らしい二人に対し、祐一は軽く宙に浮かんだ。
真琴が距離を詰める、更にフェイトは祐一に向けて黒色のデバイスを振るった。

「―――撃ち抜け、轟雷」

フェイトの周りに金色の魔力光が溢れ出す。
ミッド式の魔方陣が足もとに広がっていた。
その魔力量を確認して、思わず祐一は眉を顰めた。

「……サンダースマッシャーッッッ!!」
『"Thunder smasher"(サンダースマッシャー)』

金色の閃光が激しい音を轟かせながら迫ってくる。
遠距離砲撃魔法、後衛として申し分ない威力だ。
流石はAAAクラス、この程度の砲撃は朝飯前という事だろう。
祐一は頭の中でフェイトに対する危険度を一つ上げて迎え撃つ。
真琴が迫ってくるのは目視で確認しているが、それを無視してデバイスをフェイトへと向ける。

「リューナ、一発でかいの……行くぞ」
『―――Yes(はい)』

リューナは短くそう答えると砲撃モードへと移行する。
そして祐一の足もとにミッド式魔法陣が展開されると同時にリューナの杖先に銀色の光が集う。
……祐一の体中から銀色の魔力光が溢れ出す。

「―――撃て」
『"Stern beschiesung"(シュテルンベシースング)』

祐一の命令と共に急速に高まった魔力が一気に放出された。
砲撃までの速さにフェイトは驚愕の表情を見せる。
あまりにチャージが速い、砲撃魔法としてはほぼノータイムだ。
あれぐらいのチャージ速度なら、隙があったら何処からでも狙われてしまう。
恐らく威力を捨ててチャージ速度を限界まで速くしているのだろう。
フェイトの砲撃と祐一の砲撃が激突する刹那、足の速い真琴が祐一がいる空中まで駆けてきていた。

「祐一、覚悟おおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「―――リューナ、頼んだ」
『"Round shield"(ラウンドシールド)』

祐一の目の前に魔法陣が展開する。
しかし真琴は止まらずに祐一に向けて拳を突き出した。
二種類の衝突音が同時に響く。
片方は砲撃同士による魔力と魔力の弾け飛ぶような衝突音が。
もう片方は真琴の魔力を込めた拳による防御魔法のぶつかり合いだ。
両方とも一時的に拮抗して訓練室内部は轟音と閃光により埋め尽くされる。
だが、その拮抗もやはり長くは続かないようだ。

「抜かれるか、そりゃ……」

先に動きを見せたのはフェイトの砲撃だった。
祐一の砲撃をフェイトの砲撃が押し返していく。
そして次の瞬間、完全に押し負けたシュテルンベシースングが虚空に散らばる。
支えを無くしたサンダースマッシャーが祐一へと迫る。
やはり威力を捨てた砲撃では一時凌ぎにしかならない。
……祐一はそれを確認して苦笑する。
更に硝子の割れた音が響く、真琴が祐一のバリアを抜いたらしい。

(バリアブレイク……か)

自分でも驚くほど冷静に祐一は迫る二つの脅威を見つめていた。
このままではフェイトの砲撃と真琴の打撃によって昏倒は免れない。
結果的には圧倒的な戦力差という事で、ここで負けていいのかもしれない。
しかし……祐一はリューナを持つ手に力を込める。

『Match one's skill(実力で勝負しましょう)』

リューナが呟くように宣言する。
相変わらず無茶を言うデバイスに、祐一は頷いた。
真琴は祐一に向けて拳を力強く振り下ろす。
これを避ける術はない、それはフェイトに砲撃を放った時からわかっていた。
だから祐一は真琴の一撃に備える。
気を抜けば一瞬で落とされる、それを知る祐一にとっては緊張の一瞬だった。
真琴の拳がバリアジャケットを通して衝撃を伝えてくる。
鈍い音がして腹部に拳がめり込んできた……。

「……ぐっ!」

思わず苦痛の息が漏れる。
しかし、痛みに気を取られている場合じゃない。
祐一は顔を上げて真琴越しに迫る砲撃を見つめる。
どうやら真琴は祐一の足止め要員のようだ。
本命はあの砲撃で、真琴の一撃は牽制……もしくは次の行動の為の布石だろう。
案の定真琴は突き出した拳とは逆の手で祐一のバリアジャケットを掴む。
砲撃が到着するまでの時間稼ぎ、それも昔祐一が教えた戦術の一つだ。
意外に真琴は祐一が教えた戦術を律儀に守っている。
意識が飛びそうになりながらも祐一は口を歪ませた。
……その戦術を教えたのが相沢祐一なら、またその対策も知っているは相沢祐一だった。

「―――リューナっ!」
『"Reacter purge"(リアクターパージ)』
「あぅ!?」

祐一が叫んだ瞬間、真琴が掴んでいたバリアジャケットが粉々に粉砕する。
思わず勢いに振り回され真琴の体が無防備になった。
戦闘中に防護服を破損させる、そんな祐一を見てフェイトはデバイスを構えて走り出した。
どうやら祐一の狙いが即座に理解できたらしい、そんなフェイトに祐一は心の中で合格点をつける。
流石オールレンジアタッカー、戦術の切り替えに関しては一級品だ。
だがそんなフェイトを悠長に待つわけもなく、祐一はリューナを振りかぶり無防備の真琴へと……振り下ろさなかった。
祐一は真琴のバリアジャケットを掴むと駆けてくるフェイトへと投げつける。

「―――よっ……と!」

そして次の瞬間迫っていた砲撃を体一つで回避する。
リアクターパージの際に体勢が崩れていた事が幸いだったのか、行動は素早かった。
だが少し間に合わなかったのかバリアジャケットの下に着込んでいた黒い上着が軽く破ける。
祐一は掠った衝撃に微かに眉を顰めるが、気にせず体勢を整える。

「あぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ?」

真琴は回転して目を回しながらフェイトに向かう。
流石にそんな真琴を放ってはおけなかったのかフェイトは腕を広げた。
高速で真琴が迫る、衝撃を何とか緩和しようと柔軟に受け止める。
魔力で強化された腕に真琴が収まった。
しかし衝撃でフェイトの体が少し後退する。
フェイトは軽く顔を顰めると、真琴の様子を確認する。
どうやら眼を回しているようだが、体に怪我はないようだ。
思わずホッと息を吐く、そして顔をあげた。
……すると、そこには銀色の光が広がっていた。

「リューナ、目の前の相手は何だ?」
『Rival in love(恋敵)』
「ちげーよ」

格好よく決まらずに祐一は苦笑する。
だが、その姿はフェイトが呆然とするほど様になっていた。
バリアジャケットが脱げ黒いシャツ姿の祐一、そして片腕を上げている。
その手にはリューナ、砲撃モードで魔力光の銀色に包まれていた。
そして―――杖先には巨大な魔力の塊が集束しつつあった。

「……集束砲」

フェイトが呆然と見つめる。
先ほどの砲撃と違いチャージが長い。
つまりは威力重視、先ほどの砲撃とは質が違う。
あれを撃たれれば防御魔法など簡単に打ち砕かれてしまう。
フェイトの移動力をすれば避ける事は可能だが、今は真琴を抱えている。
抱えて飛ぶには、もう時間が足りない。

『"Silbern ocstan"(ズィルバーンオクスタン)』

リューナが無慈悲に宣言する。
集束し尽くした魔力の塊が砲撃合図を待つ。
―――後は主人、祐一の一言だけだ。
それを見て、フェイトは真琴を抱えたまま漆黒のデバイスを祐一に向けた。
どうやら集束砲を受け止めるつもりのようだ。
まだ真琴を見捨てれば間に合うかもしれない間合いだが、フェイトはそれをしない。
見捨てられないのだろう、それは祐一の予想の範疇だった。

「さってと……わかってるな?」
『Yes, My master(はい、我が主)』

デバイスが輝き、祐一は空いたもう一方の片腕を杖に添える。
銀色の衝撃が、祐一の体を中心にしてまるで渦の如く激しく回転する。

「んじゃ―――やっちまえ」
『Deadly blow(一撃必殺)』

リューナの物騒な呟きとともに祐一はデバイスを振り下ろした。
瞬間、銀色の閃光がフェイトの瞳に焼けついた。
衝撃に備えフェイトは防御魔法を全力で展開する。
しかし閃光で砲撃の姿は確認できない。
真琴を強く抱き、フェイトは光の先を睨みつけていた。
……だが、いつまで経っても衝撃は訪れなかった。

「…………え?」

フェイトは虚をつかれたように呟きを洩らした。
砲撃は―――来ない。
光が網膜から消え去り、残ったのは……笑いながらこっちを見ている相沢祐一の姿だった。
もうデバイスを振り下ろした状態ではなく、リューナは待機モードで指輪に戻っており祐一は両手を腰に当てていた。
フェイトは呆然としながらも防御魔法をとく。
何が起こったのか、わからない。
するとそんなフェイトの表情を察したのか、祐一はゆっくりと降下してくる。
そして、地面に着地し……フェイト達に向かって悪戯が成功したような子供の笑顔を向ける。

「流石に艦内で集束砲は撃てんだろ」
『Strength poverty(強度不足)』

こうして、フェイトはようやく事態が呑み込めた。
つまり祐一は決定的な一撃を放たなかった訳ではなく……放てなかった。
逃げられないフェイト達を、撃てはしなかったのだ。
だからただの囮として集束砲を準備したのだろう。
直前に魔力を分散させて閃光を撒き散らし魔法をキャンセルしたのだ。

「私達の……負けですね」
「あぁ、俺達の勝ちだな」
『Victory of love(愛の勝利です)』
「いや、それは無い」

 

 

 


こうして、模擬戦は終了した。
フェイトがまだ眼を回している真琴を連れて一応医務室に連れて行ってくれた。
祐一達は訓練場に残り、リューナと共に何もない床に座り込む。

「やばかったな」
『Yes(はい)』
「もし続けるって言われてたら勝ち目無かったな」

今さらながら祐一は冷や汗を流していた。
先ほどの模擬戦、あれは模擬戦だったから勝てたようなものだ。
確かにあの状況まで持って行けたのは祐一の実力だろう。
だが相手は自分より多く、強かった時点で勝ち目はなかった。
真琴一人ならば別だが、フェイトまで居る為に何時かはやられていただろう。
はっきり言って模擬戦開始までフェイトがここまで出来る人物だとは思っていなかった。
祐一が知っているのは高町なのはとフェイト・テスタロッサが戦っている映像だけだ。
今回何とか勝ちに運べたのもそのお陰だったのだが、実際フェイトの実力は映像以上である。
あの砲撃の威力、判断能力、インテリジェントデバイス……総合して勝てるものが少ない。

「実際あの砲撃、あれだけで決まった確率どんぐらいだろうな」
『Tenths of a percent(ほんの僅かでしょう)』
「……だよな」

幾らあれが致命的な状況だったと言え砲台が貧弱ならば耐えられる場合が高い。
あれだけでブラックアウトしてくれるかと言ったら微妙な処だっただろう。
そうなったらバリアジャケットをパージしている祐一の絶対的な不利が待っている。

「AAAランクは卑怯だろ……身をもって知ったわ」
『Be surprised(驚きました)』
「あれだけの戦力差か……次戦った時はどんぐらいの確率で勝てると思う?」
『――――――』

祐一の疑問に、リューナは間髪入れず一言で答えた。
それに対し……祐一は呆れたように苦笑しながら待機モードのリューナを軽く叩く。
……まったく、呆れるほど愉快なデバイスだった。

 

 

 


あとがき
……あれれ?っと思った人、多いんじゃないかと(ぇ
呆気なく敗北のフェイト&真琴コンビ。
しかし現実では、力及ばない祐一君。
意外にトリッキー、多分器用貧乏な所があるのではないでしょうか。
恐らくで戦闘が続いたのなら祐一君の負けは濃厚だったはず。
ちなみにフェイトが集束砲を見て呆然となったのは何時かの戦いを思い出したからではないでしょうか?
集束砲=負けフラグと体に染みついてしまっている予感。
一方リューナさんは微妙にご機嫌な様子、たぶん祐一君が勝ってくれて嬉しいのでしょう(ぉ

 

■SS辞書■

―サンダースマッシャー(Thunder smasher)―
砲撃魔法直射型の一種、遠距離砲撃魔法。
その威力は高町なのはが放つディバインバスター程度の威力がある。
尚、雷撃を伴うため命中時の直接的な破壊力はディバインバスターより上かもしれない。
使用者:フェイト・テスタロッサ

―リアクターパージ(Reacter purge)―
フィールド魔法の一種、自らバリアジャケットを破損させる事によってダメージを相殺する事が出来る。
本編では祐一はワザと真琴の一撃を受けた後、捕らえようとした真琴の虚を突くため使用した。
ある意味最終手段の回避方法であり、次の戦闘を控えている場合間違っても使うものではない。
しかしそんな想定外の方法をとったからこそ、祐一を良く知っていた真琴でさえ簡単に無防備にさせられた。
使用者:相沢祐一

―ズィルバーンオクスタン(Silbern ocstan)―
砲撃魔法集束型の一種、自分の魔力と周囲の魔力を集結しさせて放つ砲撃魔法。
スターライトブレイカーのように他人の魔力を吸収する事は出来ないようだ。
祐一が唯一覚えている集束砲、威力は高くバリアを抜く程度の貫通力は兼ね備えている。
だが他の魔導師よりも発動速度は早め、その為その分の威力が低下している。
使用者:相沢祐一