一匹の可哀想な狼がいました
その狼は泣きながら森の中を歩きます
それを見て同情した仲間の狼が声をかけました
「どうしたんだい?」
すると泣いていた狼は近寄ってきた狼に訳を話し出しました
それを聞いて、話を聞いた狼は泣いている狼に襲いかかりました
しかし泣いていた狼は襲いかかってきた狼を返り討ちにしてしまいました
狼は我に返りまた泣き始めます
「何故、襲いかかってくるんだ」
狼は殺したくないと泣きました
自分は可哀想だ、自分は悪くない、自分だけは可哀想だ
そしてまた、違う狼がその狼の泣き声に釣られてやってきました
泣いている筈の狼の口元は、しかし僅かに笑みの表情を浮かべていました
「策士対索士」
倉田家地下室、第二研究所。
地下とは思えないほどの装飾が施された部屋に二人は向かい合って立っていた。
水瀬名雪の手には身の丈ほどありそうな巨大な杖が、倉田佐祐理の手には捻れた木の枝が何本か絡み合っているような小さな杖を。
両者とも油断無く、お互いの得物を吟味し合う。
お互いの魔道具、お互いの武器、お互いの力。
まずはそこから攻略する、何せ杖は魔法使いにとって生命線のようなものだ。
無手の魔法使いの方が珍しい、いないとは言わないが珍しい。
だからこそ、相手の得物をまず見る。
恐らくこのような模擬戦の場に自分の"相棒"は連れて来まい、だから今持っている杖はスペアだろう。
自分の手は出来るだけ晒したくはない、故に模擬戦では自分の杖は使わない。
使うとなれば殺し合い、相手を必ず殺せる場面でないと万が一残られたら厄介だ。
それが両者の見解、力を極力隠している彼女らだからこそ解る相手の思考。
読みやすく、読みにくい。
策士としては―――どちらかにして欲しい、読みにくいのか読みやすいのか。
そうでなくては不測の事態に対処しにくい、戦いにくい。
この勝負は決して魔法使いとしての勝負じゃない、これは思考戦だ。
「それでは始めましょうか、水瀬さん」
「その前に、ルールの確認をしてもいいですか?」
「どうぞ、何なりと」
「模擬戦のルールは反則無し、物理攻撃、魔法攻撃、上級魔法以上使用可、得物自由、相手を殺さなければ取りあえず何でもいいって事ですね?」
「はい、とっても楽しそうですよね♪」
そう言って―――倉田佐祐理はゾッとするような笑みを浮かべる。
思わず一歩後退してしまいそうな笑み、名雪の背筋に戦慄が走る。
この勝負、正直自分は不利だ……っと名雪は感じ取っていた。
ここは相手の領地、相手の空間、相手の支配下。
魔法使いが一番能力を発揮できる場所、それが自分の結界内。
ましてやここは自分の初めて訪れる場所。
殺し合いならば負けてしまう、そんな直感が自分にはある。
だけど、何でもあり……というルールならばまだ勝機はある。
何故ならば、水瀬名雪は魔法使いとしては落ちこぼれだが、決して堕ちこぼれではないからだ。
「わかりました、それでは始めましょう」
そう言って、名雪は目を細めた。
普段は隠す表情、まるで能面のように無表情になり名雪は杖を槍のように構える。
長い杖が空気を切り裂く音を辺りに響かせる。
そして、不要とわかっているが……名雪はゆっくりと、しかししっかりとして声で名乗りを上げた。
「王国防衛隊第1独立魔法警護隊、水瀬名雪―――いきます」
「………あはは、カノン王国貴族倉田厳閣侯爵が長女、倉田佐祐理……参ります」
そう名乗りあった刹那―――名雪は構えた杖から徐に手を放した。
佐祐理はそれを見て、驚愕に軽く表情を歪めた。
前提条件が間違っている、杖は……魔法使いの生命線……。
それを放した、手から、魔力の発動機である自分の身体から。
杖が無くては戦いが有利に進められない。
ずっとそう考えていた、だからこそお互いの得物を事前に確認しあった。
―――否、確認しあったからこそ?
思考が埋まる、"策士"としてはあってはならない事に。
水瀬名雪は――何を――考えて――杖を――放した?
佐祐理は"水瀬名雪"を見失った。
勿論文字通りの意味ではない、視覚には入っているのだが……"思考"を見失ったのだ。
大きな音を立てて、杖は床に落ちる。
中々重量があったのだろう、その音に佐祐理は思考がまたもや凍り付く。
「…………はっ!?」
秒単位で、行動が遅れる。
それが致命的、それが……決定的。
佐祐理は手にした杖を急いで名雪へと構えようとする。
だが―――名雪は既に手を佐祐理に向けて、詠唱を開始していた。
「―――"リーゼアルムブラストッ!!"」
「……詠唱破棄、ですかっ!!!」
佐祐理は名雪の呪文発動と同時に散らした集中を掻き集める。
どうやら相手は中級魔法を発動させたらしく魔力が名雪を中心し広がっていく。
ここで魔法反射を使うのは簡単だが、安易に使う事は出来ない。
何故ならあれは消費が激しすぎる、いくら得意魔法とはいえ連発は避けた方が無難だ。
思考が追いつかない、瞬間的に思考を展開させるが……間に合わない。
名雪の周囲から数本の石柱が出現する。
だが……身体能力が間に合わない、避けることは……不可能。
あはは、ちょっと油断しすぎましたね〜。
佐祐理は苦笑しながら迫り来る石柱を眺める。
正直この展開は想像していなかった。
それほどまでに相手の行動が予定外、想定外。
だが―――このぐらいで倉田佐祐理がどうにかなると思っているのか。
佐祐理は、手にした杖を今度は迷い無く名雪に向けた。
「―――"ヴァッサーシュナイデッ!!"」
相手に合わせて詠唱破棄で中級魔法を放つ。
だが、迫り来る石柱は既に目の前までに迫っており……佐祐理が放った水の刃は間に合わない。
直前で魔法同士がぶつかり合い、佐祐理の目の前で爆発が起こる。
衝撃が巻き起こり水飛沫と破壊された石の破片が辺りに舞い散る。
それを見て、名雪は油断無く床に落とした杖を拾い上げる。
ここまでは計算通り、だが計算通りに行きすぎて……逆に不信だ。
これで決まるとは思わない、しかし少しはダメージを与えただろうか。
「………………ん」
名雪は目を細める。
水飛沫が晴れ、石の破片が音を立てて落ちる。
予想が正しければ、倉田佐祐理は防壁を張りその場に立ちつくしている筈。
中級魔法で相殺し、直撃を避け、衝撃は対物理障壁で最小限に防ぐ。
それがおおよそ考えつく対処法だ、ならば――追撃を。
名雪は杖を構え詠唱と唱える。
「―――"闇夜を照らす業火と成れ、ファイヤーボールッ!!"」
初級魔法、ファイヤーボールを放つ。
しかし火球は真っ赤に燃えさかっており、普通のファイヤーボールの比ではない巨大さだ。
既に初級魔法としてではなく、中級魔法レベルの威力まで引き上げられている。
先手必勝、名雪は心の中で呟きながら火球の行方を追った。
そして……佐祐理がいる筈の場所に……。
「…………………………あれ?」
倉田佐祐理が……いない?
思考を戻す、何故居ないのか。
否、違う―――考えるべきはそこじゃない。
何故居ないのかではなく、何処に居るのか。
それだけに思考を絞れ、他に何も考えるな。
相手はどのような魔法を使ったのか―――否。
何故其処に居ないのか―――否。
自分は何かを間違っていたのか―――否。
倉田佐祐理の現在位置は何処か―――そうだ。
名雪は思考を固める、神経を研ぎ澄ませ辺りを探る。
前方、後方、左方、右方。
居ない、気配を読み違えるわけがない。
前後左右、本当に誰も存在しない。
感じるのは魔力の残滓と無機物の静けさのみ。
何故、有りえない、有りえるはずがない。
仕方ない、検索情報の変更を選択。
この現状を見るに、何か特別な魔法を使ったと見るべきか。
しかし……どんな魔法がある。
気配遮断、有りえない―――名雪は首を振る。
そんな初級魔法程度の対策はもう出来ている、気配遮断は通じない。
他にどんな魔法が、っと……名雪は地面を見る。
まさか、地中に逃げ込んだのだろうか。
有りえなくは無い、だがそれでは利益よりリスクの方が―――そして名雪は目を見開いた。
地面、見下ろしている、地に影が。
一人分の影だけではなく……もう一人分の影が覆い被さるように映っていた。
「―――ファイ……!!」
だが間に合わない、既に頭上に倉田佐祐理の姿が。
―――こちらに杖を向けながら落ちて来た。
そうか、これは、転移魔法……っ!?
しまった、倉田佐祐理が転移魔法を使えたという事は……この状況、仕組まれていた。
「捕りました―――"シュネーゲシュテーバーッ!!"」
杖の先から吹雪が飛び出す。
凍結魔法、だが……その程度の初級魔法でどうにかなるとでも。
これぐらいなら―――軽く避けるぐらいは。
「あはは、逃がしませんよ―――"プルプルロートブリッツッ!!"」
知らない魔法、まさか―――独自呪文。
聞いたことがない魔法に、一瞬対処が遅れる。
プルプルロートブリッツ……直訳すれば、しまっ――っ!!
名雪は急いで防御魔法を組み立てる。
身体に魔力を流し、口を媒介にするのではなく全身を媒介にして魔法を発現させる。
勿論こんな事、普通の魔法使いがするような事ではない。
寧ろ出来ない、体内の全ての器官を使い回路を増設させる。
こんな事を出来るのは、先天的な才能が必要となる。
その技能とは、自分の持つ性質……俗に言う得意属性が必要となる。
水瀬名雪に得意な属性は無い、しかし……"人にはそれぞれ自分の適性に合った属性が必ず存在する"のだ。
つまり……属性が一つも無い事は絶対に有りえない。
言い換えれば、飛び抜けた属性が無いだけであり―――全ての才能が秀でている者の事を指す。
魔法使いの中も数個の属性を持っている人間は存在するが、全ての属性を持つのは本当に稀である。
だが本当は、この才能は名雪本人が先天的に持っていた才能ではない。
元々名雪は水の属性に秀でていた普通の魔法使いであった。
しかし、とある理由により水瀬名雪は無理矢理に有った属性を上書きしたのだ。
普通に考えて有りえない、だがそれを可能にしたのが水瀬名雪という魔法使いだった。
「く―――ぅぅぅぅぅ!!!」
紅き稲妻が名雪の全身に降り注ぐ。
流石に急場凌ぎの魔法展開だけでは佐祐理の独自魔法に耐えきるだけの耐久力は無かった。
だが多少のレジストはした、名雪は痛む身体を無理してその場から離れる。
佐祐理は少し驚いた顔をして、しかし次の瞬間不敵に笑った。
「―――"転移"」
一瞬にして、佐祐理は名雪の進行方向に遮るように移動した。
名雪はいきなり現れた気配に手に持った杖を振りかぶる。
「―――"ファイヤーボールッ!!"」
「あはっ―――"転移"」
「―――えっ!?」
連発で転移魔法の連続行使……有りえない。
名雪自身が転移魔法を扱える魔法使いであるから解る、あの魔法はそう何度も使うことは出来ない。
まず計算式が追いつかない筈だし、魔力の消費量も馬鹿にならないだろう。
だが現実問題として相手は転移魔法を連発して、しかもまだ余裕があるみたいだ。
思考を切り替えろ、このまま流されたままでいるならば……負ける。
気配が―――消えて、またすぐ背後から気配が現れる。
駄目だ、幾ら思考が巡ったとしても身体能力が追いつかない。
「―――"ドンナーアクストッ!!"」
閃光の斧が名雪の背中に突き刺さった。
名雪は衝撃に悲鳴も上げられず吹き飛ばされた。
一応先程の身体を包み込んだ魔法障壁は展開していたが、衝撃だけは受け流せない。
完璧に裏をかかれ名雪はまるで枯れ葉のように宙に舞った。
思考が真っ白になり、後悔すらも無くなった。
そして気づく、そうだ―――ここは倉田家の実家。
恐らくこの部屋が佐祐理の力と何か関係しているに違いない。
不可能な事をやり遂げた裏には何かある、この部屋自体に何か仕掛けがある。
だが、そんな事はどうでもいい。
視野が急に狭くなり、視覚が急に低下していった。
負けた……名雪は自分の敗北を確かに感じ取っていた。
これは策士の勝負、策を悟られずに策で打ち勝ち策に全てを委ねる。
それが策士の戦い、それが自分達の勝負方法。
つまり、自分は―――策士として倉田佐祐理に負けたのだ。
悔しいと言えば悔しい、悲しいと言えば悲しい。
今までワザと負けたことはあったが、本気の勝負で負けたことは殆ど無かった。
例え模擬戦でも、負けるということは本当に……。
しかし、何故自分は負けたくなかったのだろうか。
どうせ模擬戦だ、負けても損はない。
それに自分は手の内を晒せない、だから本気になれる筈もない。
そうだ、相手が策士なら自分は索士……別に勝敗だけに拘らなくても構わない。
「…………ない」
そうだ、負けても構わない。
例えこんな負け方でも経験は積める。
これからの戦いに備えて次に活かせばいい。
自分はカノンの守り手、こんな事で落ち込むほど出来た人間ではない。
「………られない」
だから私は……このまま地面に叩きつけられるだろう。
でもその前に、ふっと過ぎる考えがあった事も事実だ。
何故―――自分はこんなに一生懸命になって戦ったのか。
くだらない模擬戦に、これほどまでに熱くなったのか。
「……負けられないっ!!!」
言葉が、勝手に出ていた。
惨めに宙に舞いながらも、思考はもう駄目だと思いながらも。
何故か自分の口だけは止まらなかった。
瞳は死んではない、表情は篭もってなどいない。
「私は―――子供達の為にも負けられないっ!!!」
そう叫び、ようやく思考が追いついた。
こんなくだらない戦いに、譲れないモノを賭けたんだ。
そうだ、これは、負けられない勝負だったんだ。
カノンを愛し、そして敬う者だからこそ……カノンに住む人々を蝕むモノが許せない。
それが理由、何の報酬もなく、仲間もない。
カノン王国の中に居ても結局はどの部隊にも最終的に属していない魔法使い。
機密を守るために、王国守備隊に入ってはいるものの、その実任務など皆無に等しい恵まれた環境にいる者。
だが、だからこそ出来る事がある。
だからこそ、しなければならないことある。
水瀬名雪は閉じかけた目を見開いて地面に激突しそうになった身体を助けるために左腕を地面へと突き出した。
そして―――名雪は左腕から地面へと着地した。
「―――うっ……あぁ!!!」
悲鳴が洩れる、全体重を受け衝撃を緩和している左腕が軋みを上げた。
そして……ついには骨が砕けるような音がして名雪の身体は地面へと放り出された。
激痛が走る、だが―――わざわざ左腕を選んだ理由は痛みに転がる為じゃない。
名雪は左腕を犠牲にして身体を何とか地面へと立たせた。
それを見て、倉田佐祐理が驚きに表情を歪める。
名雪は杖を落としたらしく無手であり、それほど恐れる対象ではない。
だが……厄介な事は策士は"予定外"の出来事には疎いということだ。
勝負は戦う前に予め計算されて結果は見えている、もし多少の違いはあったとしてもそれに準じた対策は幾つも用意している。
しかし―――予定外、予想外の事が起こると策士はもう一度全てを計算し直さなくてはいけない。
行動が遅れる、思考が追いつかない、理詰めで戦う者にとって異分子は最大の敵だ。
「―――"リーゼアルムブラストッ!!"」
それに対し、水瀬名雪は迷わず魔法を唱えた。
だが魔法は先程と同じ、ならば前回と同じ……巻き戻し。
それならばまだ対策は出来る、佐祐理は軽く持ち直しながら杖を構える。
だが―――次の瞬間佐祐理は驚愕に引きつった。
先程と同じように石柱が迫る、だが……石柱に気を取られ一瞬水瀬名雪を視界から外してしまった。
そしてその一瞬で、今度は水瀬名雪がその場から消え去った。
「転移―――いえ、瞬間移動?」
転移魔法は慣れた場所、慣れた空間、そういう場所でしか精度を発揮できない魔法だ。
だからこのような緊張状態で行使出来るような魔法じゃない。
瞬間移動の魔法ならば、この場で使うことも可能だが、あれは詠唱の問題がある。
実質上級魔法以上の消費量が想定される瞬間移動魔法は詠唱破棄出来るレベルの魔法じゃない。
佐祐理のように魔法を自在に使うことはほぼ不可能。
ならば、何故居ない。
今度は佐祐理が集中する番だった、取りあえずは迫り来る石柱をどうにかしなくてはいけない。
転移するか……いや、転移した先を読まれていたら逆効果だ。
転移は行動中は無敵だが、一転出現した時は無防備になってしまう。
ならば……っと佐祐理は杖を振るう。
「―――"リフレクトミラーッ!!"」
魔法完全反射魔法、佐祐理の前面に最強の障壁が展開される。
魔法と名の付くモノならば、如何なるモノでも通さず跳ね返す。
名雪が放った石柱も例外ではない、佐祐理の障壁に当たった瞬間反発し飛んできた方向へ返っていく。
そう―――この魔法はどのような魔法も跳ね返してしまうのだ。
そして、魔法ではない物体ならばその障壁に対して何の対策もせずに通り抜けられる。
「―――てぇ!!!」
そんな少し間の抜けたような声がしたと思った瞬間、佐祐理の目の前に水瀬名雪が現れた。
瞬間移動―――いや、これは―――違う!?
魔法を跳ね返す障壁に瞬間移動の魔法も例外ではない、出現した瞬間に元の場所に跳ね返される筈だ。
しかしそれがないということは、生身……しかしどうやってここまで。
そして気づく、そうか―――水瀬名雪は自分の発した石柱に自分で乗ってきたのだ。
何て無謀な、そんな事をして無駄に怪我を増やしたいのか。
「――――――ハァ!!!」
名雪の拳が佐祐理に降り注ぐ。
佐祐理は魔法ではなく相手が体術に切り替えた事に多少の驚きを感じながらも応戦した。
護身術ならば多少は習っている、相手もそれほど体術が得意な訳じゃないだろう。
ならばそれほど不利な勝負じゃ……っとそこまで考えた時点で佐祐理は足をとられた。
視線を落とす、其処には……水瀬名雪が落とした"杖"が佐祐理の足に当たっていた。
誘導魔法、いや……物体制御魔法の類か。
体術勝負じゃない、これは―――水瀬名雪の戦略だ。
急場凌ぎに転移魔法……不可能だ。
こんな状態じゃ唱えられない、だが他にどうすれば……。
バランスを崩しかけた佐祐理は思考が固まる。
やはりやり難い、策士は決して同じ策士と戦う場合相性はよくない。
同じ事を考え、同じ結論に達し、予定外の事をどうすれば出来るか計算する。
そして―――その予定外こそが策士の最大の弱点。
つまり二人は相手の弱点を捜し当てて容赦なく責め立てる戦いだ。
一瞬の判断ミスが大きな失敗を招く、拙い。
その隙に、名雪は握っていた拳を開くと一気に勝負を賭けた。
「―――"ファイヤーボールッ!!"」
倉田佐祐理の目の前に巨大な火球が展開される。
バランスを崩した状態では……避けられない!
無理矢理転移をしようにも―――精神状態がそれをさせない。
そして―――視界が真っ赤に染まった。
to be continue……
あとがき
何故ドイツ語だよっ!っと思わず突っ込んでしまうような魔法達。
まあ今までもドイツ語は少しずつ使っていたんですがここに来て倍増。
ちなみに正しい読み方かは知りません、はっきり言ってドイツ語の成績悪いですw
直訳してください、多分意味は通じる筈。
いや、通じなかったとしてもパトスで感じ取ってくだs(ry
―――休館中―――
本日の営業は終了しております。